社会保険労務士業界の独占業務領域

社会保険労務士業界の独占業務領域

社会保険労務士の独占業務

社会保険労務士の独占業務は、
その名からも想像ができるように
”労働関係”とそれに付随してくる
”保険”関係の業務となっている。

 

もちろん国家資格である社会保険労務士であるので、
その根拠もしっかりと社会保険労務士法という法律に
よって定められていてその業務の独占性が担保されている。

 

以下にその独占性をしっかりと分かる
根拠条文を添付しておいたので一読されたい。

 

↓の条文を読んでいただければわかるように
このような部分が社会保険労務士の独占業務となっている。

 

 

社会保険労務士と行政書士の狭間

 

 

社会保険労務士の独占業務領域を知るのに
行政書士の作成する官公署提出者書類との違いを
比べるとよく理解しやすいのでここに一例を書いておこう。

 

社会保険労務士が作成する書類の中でも
代表的なものに就業規則がある。

 

この就業規則は労働基準法によって常時10人以上雇用している
事業主がその事業所に備え付け労働基準監督署に
届け出なければならないとしている書類で、
社会保険労務士が独占的に作成する事ができる書類である。

 

 

しかし、社会保険労務士が独占的に作成できる書類は

 

労働社会保険諸法令に基づく書類等

 

であって、その諸法令のよって義務づけられていない書類についてはこの限りではない。

 

となると「10人以上の雇用をしている」事業所の就業規則については
社会保管労務士の独占業務であることに疑いはないが、
「9人以下の雇用」をしている事業体については法令の根拠がない
書類となり行政書士法によって制限されている「他の法令によって制限されている
」に該当しないことになる。

 

するとこの常時9人以下の雇用をしている事業体の就業規則の作成は
行政書士業務と言える事となる。

 

実際の現場では知り合いの社会保険労務士に業務を振ることになるだろうが、
このように業務の際のことを考えるとその資格の持っている
独占業務領域というモノが良くわかる。

 

 

※追記:厚労省の見解によると常時9人以下の事業体の就業規則も労働基準法の範囲内という事なので、この見解に立てば社会保険労務士の独占業務領域であるという事になる。
この厚労省の見解に立ち、社会保険労務士会は行政書士会に対して行政書士が就業規則を作成することをやめるように抗議しているという話だ。
ここの記載例はあくまで独占業務というモノを理解するための例としてのみ使用してほしい。実際の法運用は少々違うという事だ。

 

 

 

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(社会保険労務士の業務)
第二条
 社会保険労務士は、次の各号に掲げる事務を行うことを業とする。
一  別表第一に掲げる労働及び社会保険に関する法令(以下「労働社会保険諸法令」という。)に基づいて申請書等(行政機関等に提出する申請書、届出書、報告書、審査請求書、異議申立書、再審査請求書その他の書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識できない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。)をいう。以下同じ。)を作成すること。
一の二  申請書等について、その提出に関する手続を代わつてすること。
一の三  労働社会保険諸法令に基づく申請、届出、報告、審査請求、異議申立て、再審査請求その他の事項(厚生労働省令で定めるものに限る。以下この号において「申請等」という。)について、又は当該申請等に係る行政機関等の調査若しくは処分に関し当該行政機関等に対してする主張若しくは陳述(厚生労働省令で定めるものを除く。)について、代理すること(第二十五条の二第一項において「事務代理」という。)。
一の四  個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律 (平成十三年法律第百十二号 )第六条第一項 の紛争調整委員会における同法第五条第一項 のあつせんの手続並びに雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 (昭和四十七年法律第百十三号)第十八条第一項 、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 (平成三年法律第七十六号)第五十二条の五第一項 及び短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律 (平成五年法律第七十六号)第二十二条第一項 の調停の手続について、紛争の当事者を代理すること。
一の五  地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第百八十条の二 の規定に基づく都道府県知事の委任を受けて都道府県労働委員会が行う個別労働関係紛争(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第一条 に規定する個別労働関係紛争(労働関係調整法 (昭和二十一年法律第二十五号)第六条 に規定する労働争議に当たる紛争及び特定独立行政法人等の労働関係に関する法律 (昭和二十三年法律第二百五十七号)第二十六条第一項 に規定する紛争並びに労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を除く。)をいう。以下単に「個別労働関係紛争」という。)に関するあつせんの手続について、紛争の当事者を代理すること。
一の六  個別労働関係紛争(紛争の目的の価額が民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)第三百六十八条第一項 に定める額を超える場合には、弁護士が同一の依頼者から受任しているものに限る。)に関する民間紛争解決手続(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律 (平成十六年法律第百五十一号)第二条第一号 に規定する民間紛争解決手続をいう。以下この条において同じ。)であつて、個別労働関係紛争の民間紛争解決手続の業務を公正かつ適確に行うことができると認められる団体として厚生労働大臣が指定するものが行うものについて、紛争の当事者を代理すること。
二  労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(その作成に代えて電磁的記録を作成する場合における当該電磁的記録を含み、申請書等を除く。)を作成すること。
三  事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること。
2  前項第一号の四から第一号の六までに掲げる業務(以下「紛争解決手続代理業務」という。)は、紛争解決手続代理業務試験に合格し、かつ、第十四条の十一の三第一項の規定による付記を受けた社会保険労務士(以下「特定社会保険労務士」という。)に限り、行うことができる。
3  紛争解決手続代理業務には、次に掲げる事務が含まれる。
一  第一項第一号の四のあつせんの手続及び調停の手続、同項第一号の五のあつせんの手続並びに同項第一号の六の厚生労働大臣が指定する団体が行う民間紛争解決手続(以下この項において「紛争解決手続」という。)について相談に応ずること。
二  紛争解決手続の開始から終了に至るまでの間に和解の交渉を行うこと。
三  紛争解決手続により成立した和解における合意を内容とする契約を締結すること。
4  第一項各号に掲げる事務には、その事務を行うことが他の法律において制限されている事務並びに労働社会保険諸法令に基づく療養の給付及びこれに相当する給付の費用についてこれらの給付を担当する者のなす請求に関する事務は含まれない。

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